-女王蜂の怒り-
監督:石井輝男 出演:菅原文太 久保菜穂子
菅原文太のデビュー作とパッケージに銘打たれた新東宝のビデオを発見!
その名も「女王蜂の怒り」(1958)
ん? 待てよ。JapaneseMovieDataBaseによれば、その前にも2本ほど出ていたはず。
そうすると本格的初出演ってやつか?
ご存知、「女王蜂シリーズ」の第二弾である。
何ぃ、「女王蜂シリーズ」なんか知らないって? 牧源太郎・原作の女侠客もので、シリーズの名は結構有名なのに・・・
女が主役のやくざ映画の先駆的存在であるこのシリーズは、久保菜穂子がもろ肌脱いで粋な女親分ぶりを見せてくれるのだ。
港湾利権をめぐって海堂組と龍神組は、ことごとく対立しており、龍神組の組長剛田(白髪メッシュをいれた天地茂)は海堂組の女親分ゆりの体とシマを狙っていた。
冒頭、港祭りでにぎわう中、龍神組は、ゆりを襲う。
そこへ助けに現れたのが「北の向こうからやってきたハリケーンの政ってんだ」と名乗るフーテン(当時、新東宝の若手のエース格の宇津井健)。
10人以上いる龍神組を相手にほとんど1人でなぎ倒すのだが、ジャイアント馬場かと思えるようなスローなスタントを見せてくれる。
しかし、毅然とした久保菜穂子は、良い!
昭和一桁生まれでこんなにすらっとしたスタイルの女は、まずいないのではないか。この当時まだ20代なのにじゅうぶん威厳があり、組を仕切る女親分の役どころに不自然さがない。
あの藤純子の「緋牡丹博徒」や「極道の妻」が、このシリーズに影響を受けたといわれるのも納得。
肝心の文太兄ィは、敵方の剛田の右腕の譲次 。
いやらしい悪役振りを見せてくれる。
しかし、モデル出身だけに抜群のスーツ姿を見せてくれ、セリフも登場シーンも多い。
デビュー早々でやたら見た目も若い(髪型は七三バック)のに周りの年上の組員から兄ィといわれる腕利きヤクザだ。
それにしても、この頃から兄ィと呼ばれていたとは・・・・・。
兄ィはダンスクラブでフーテンの政と格闘するのだが、むしろ見せ場は格闘前の、ラテンバンドの音楽に合わせて高倉みゆき相手に踊る華麗なステップかもしれない。(ジーン・ケリーもビックリ!なわけないか)
今の若いファンに新鮮な驚きをあたえること、間違いなし!
ちなみに高島忠男がチョイ役で歌うシーンも有り。
そういえば、「神戸国際ギャング」(1975)では、文太兄ィは高倉健のダンスを苦々しそうに見てる側だったっけ。ダンスは苦手、と勝手に判断してたファンも多いのでは?
監督は、あの宇津井健のもっこりで知られる「スーパージャイアンツ(鋼鉄の巨人)」シリーズ(1957〜58)を作った石井輝男。
後にあの大ヒット作「網走番外地シリーズ」(1965〜67)を作り、不遇(といってもデビューからずっと主演スターだが)の高倉健をスーパースターにし、東映に巨万の富をもたらした事で知られる。
さらにその後は「地獄拳」シリーズ(1974)を作り、やくざ映画ブームに乗ることができず、映画界ではいまひとつ(TV界では既に1968年に始まった「キーハンター」でスーパーアクションスターになっていたが)のところにいた千葉真一を国際スター(コメディスター?)にのし上げた。
そのなんでもありの石井輝男は、なぜかクライマックスの海堂組と龍神組が総力戦を行うシーンだけ白黒映像にしてしまう。白黒の方が迫力が増すと思ったのだろうが、観る側には途中で予算がなくなったのかと思わせるのであった。
(ケン)
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