-やくざ刑罰史・私刑(リンチ!)-
監督:石井輝男 出演:大友柳太郎 菅原文太 大木実 吉田輝雄
石井輝男による、江戸〜大正〜昭和三時代に渡るオムニバス形式のやくざ映画。
そのタイトルと、オープニングで流れるエグいリンチ映像の数々が、石井輝男ワールドへの期待を煽りたてる。しかし、息つく暇もない残忍なリンチ場面の連続のような悪趣味的キワモノ世界を予想していた人々にとっては、本編は意外にしょぼかったりする。
メインはあくまでも地味な仁侠映画とギャング映画の抱き合わせで、リンチはオマケといった感じであった。
というわけで、菅原文太は江戸時代仁侠風味の1本目の作品に登場、根性なしの情けない弟分(宮内洋)の失態の責任を肩代りしたり、困っている女性を助けたりので、とりあえず少しばかりの侠気は発散させているが、その優しさがかえって仇となり、いまひとつ狡猾さが欠けたマジメやくざを演じている。
その文太が困っている女性に会ったことから、組の禁止事項である、「間男するべからず」に抵触し、冷血で極悪非道な親分の菅井一郎の逆鱗に触れてしまう。そして、なんと片方の眼球をエグラられてしまう!
ここで、文太ファンとしては、文太という役者イメージ(仁義なき〜、で山守に盃を返した例のエピソードなど)を回想する! そして、文太の男の怒りが大爆発! キレた文太が親分とその手下を皆殺し! を期待するであろう!
しかし、いくらなんでも目をエグラれるというものはイタイもの、文太は「うあああ〜」と断末魔の叫びをあげながら延々と痛がっていた。
そうこうしているうちに、この冷血親分菅井一郎の極悪非道な仕打ちに思わずキレてしまった兄貴分の大友柳太郎が「どんなケジメでも、箸持つ為に親指と人指し指は残すってもんが温情だ〜、てめえらは畜生以下だ〜」と、侠気マニア涙モノの名言を吐き捨てつつ親分とその手下軍団に斬りかかり、文太を逃がす。そして、大友は自らの眼球をエグり出し、親分へ投げつけ、殺害する。結局、悪どい奴は滅びるといった仁侠映画特有のカタルシスの爆発で幕となる。
目ん球エグられて逃げる文太、侠気大爆発の大友柳太郎、今から考えてみれば1969年当時の東映においては妥当の配役である。
(すす)
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