-県警対組織暴力-
監督:深作欣二 出演:菅原文太 松方弘樹 梅宮辰夫

僕らが愛してやまない文太兄ィは、今回は地方の警察署の刑事として登場。はたして、カタギとしての文太兄ィは僕らに、いつもの「侠」を爆発させてくれるのかな?

冒頭のシーンで、ヤクザの若い衆を並べて説教する文太兄ィ、
「拳銃不法所持!」
「武器道具集合罪!」
と、並んだ若い衆にビンタの連発。ある若い衆が所持していた高級ライターを所持していたのを目ざとく発見した文太兄ィ、すかさず「これはもらっちょくけん」と自分のポケットへ。そして、そのあとのセリフが
「ぼけーっとしちょらんと、はよう、でいりにいかんかい!」
なるほど、今回は悪徳刑事役ですね。

しかし、こんな刑事であっても文太兄ィは文太兄ィ。
数年前に、敵対するヤクザ組長を射殺した松方弘樹が文太兄ィの住む安アパートへ自首してきた。文太兄ィは、この不憫そうな松方を見て、あつーいお茶漬けを振る舞う。まずは「侠」の基本であるささやかなおもいやり左ストレートが松方のアゴをかすめる。
この先制攻撃にぐらりときた松方、ありがたく「侠汁」の注がれたお茶漬けをすする。
そして、その食べおわった茶碗を律義かつに丁寧に炊事場で洗う弘樹!!
油断した文太兄ィへの飛び込みざまのお礼返し「侠」の右フック!!
この様が文太兄ィの「侠」の心の琴線にふれたのか、受けた「侠」の心意気は倍返しがモットーの文太兄ィ、その場で松方を逃がしてやることにしました。

その後も文太兄ィと松方の、職業倫理を超えた「侠」癒着、じゃなかった交流は続く。
お互い持ちつ持たれつの関係が続き、いつしか松方は地元でのイイ顔のヤクザになる。

ちなみに、この作品の松方の暴れぶりは最高。ベッドにて、情婦の池玲子をバックから「どおお!どおお!」とかけ声かけながらエネルギッシュな突きっぷりを披露する。
「明子夫人かわいそー」と言っていた、ワイドショー好きのギャルたちもこれには閉口するしかないね。

そして、話は急展開を迎え、なんと! 不良番長こと梅宮辰夫エリート警部役として文太の所属する暴力団対策課へと急遽赴任してきた(?!)。


拝啓
母さん、ヒロシ(注1)は立派に更正しました。
カポネ団(注2)のダチの五郎(山城新吾)も見事警察官採用試験に合格して刑事やってます。
そして、新吾は、ヒロシの練鑑時代のダチであり同じくカポネ団にゲスト出演していた文太兄ィとともに、チンピラヤクザの拓三を厳しく取り調べ、裸にひんむいてボコボコにしばきあげ、立派に任務を果たしてくれております。
ちなみに、厳しい取り調べ(暴力)のすんだ拓三に対して、拓三の嫁を警察署のトイレに呼んで、拓三に憩いのひととき(個室トイレで一発)の「侠」のささやかな思いやりをプレゼントしておりました。
カポネ団の奴等はみなイイ奴ばかりです、暴力的なのは相変わらずですけどね......
敬具


このエリート警部梅宮はカポネ団時代とは見違えるほどの更正ぶり。
地元ヤクザとの癒着は厳禁、地元ヤクザを一掃! 不正はゆるしませんぞ!の正義感に燃える仕事ぶり。
部下の反論も許しません。意見した同じ課の刑事佐野浅夫(全然年上)に対し、宴会の席で背負い投げを連発!初老の佐野さんはたまったもんじゃないよね。

その頃、松方の組と成田三樹男率いる組が土地の利権をめぐって対立、両者の局地戦が続いていた。そして、捜査の情報をマブダチの松方に密かに流していた文太にも梅宮警部の目が光っていたのだ。

日々厳しくなるガサ入れに松方は文太兄ィへの不信感を募らせる。そして、切れてしまった松方は佐野浅夫を人質にホテルに篭城する。
ここで、長年、松方とお互いの「侠」を分泌し合っていた文太は松方を説得へ。
松方は、文太の最後の「侠」を信じ投降する。

しかーし、あきらめたと思った松方は、近くにいた刑事の拳銃を奪い再び抵抗の構えをみせる。
最後の最後で裏切られた文太兄ィの「侠」
最後の「侠」が通じなかった文太兄ィは自ら、松方を射殺してしまう。
ここで、職業をこえた「侠」同士の友情は終わる。

その後、文太兄ィは地方の鄙びた派出所巡査として赴任。
ある夜、交通事故の連絡を受け、どしゃ降りの中を自転車をこぎながら現場へ。
その直後、突如突っ込んできたトラックに跳ねられどしゃ降りの雨に打たれながら非業の死を遂げる。

一方、エリート警部梅宮は警察を辞め、成田が利権獲得に絡んだ石油会社幹部へと転職。
そのオフィスでの朝礼にて
「さあー、みんなで朝の体操をしよー」
と、数年前までは、撮影が終われば朝までクラブで遊んでいた全盛バリバリのカポネ団時代からは想像できない健康的なセリフを吐いていた。
この、成田三樹男率いる地元ヤクザとエリート警部梅宮との癒着を密かにほのめかすシーンとのコントラストが、文太兄ィの非業の死との救いようのない明暗を分ける。


......母さん、カポネ団で培ったペテンが役に立ちました。


(注1) ヒロシ......「不良番長」シリーズにおける梅宮辰夫の役名。神坂ヒロシ
(注2) カポネ団......「不良番長」シリーズにおいて、梅宮ひきいる与太者集団。バイクぶっとばして、ヤクザから金や麻薬を盗むわ、女は犯すわのオチャメな悪さを繰り返していた。
(すす)
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